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太るとテストステロンが下がる──男性の活力を奪う脂肪と、その出口



「なんか最近、覇気ないな」──それ、歳のせいじゃないかもしれません

仕事は普通にこなせている。健康診断も大きな異常はない。でもなぜか気力が湧かない。性欲が落ちた。朝に元気がない。体に力が入らない気がする。

40代・50代の男性からよく聞くこういった訴えを、多くの方は「歳だから仕方ない」で片付けてしまいます。しかし実際には、そこには明確なメカニズムがあります。そのひとつが、肥満によるテストステロン(男性ホルモン)の低下です。


テストステロンとは何か

テストステロンは精巣で産生される男性ホルモンで、筋肉量・骨密度・脂肪燃焼・性欲・勃起機能・気力・集中力に広く関与しています。加齢とともに緩やかに低下しますが、問題は肥満がその低下を大幅に加速させるという点です。

研究では、肥満は男性においてテストステロン低下の最も重要な単独リスク因子のひとつと位置づけられています。この状態は「男性肥満関連二次性性腺機能低下症(MOSH: Male Obesity-associated Secondary Hypogonadism)」と呼ばれ、近年急増しています。


肥満がテストステロンを下げる3つの経路

① アロマターゼ変換──脂肪がテストステロンをエストロゲンに変える

脂肪組織にはアロマターゼという酵素が豊富に存在し、テストステロンをエストラジオール(女性ホルモン)に不可逆的に変換します。肥満が進むほどアロマターゼ活性は上昇し、テストステロンは減少、エストロゲンは増加するという悪化の構図が続きます。

太るほど男性ホルモンが女性ホルモンに変わっていく、ということです。

② 視床下部・下垂体軸の抑制──ホルモン産生命令が届かなくなる

増加したエストロゲンはLH(黄体形成ホルモン)のパルス振幅を低下させ、精巣へのテストステロン産生指令が弱まります。さらに脂肪細胞から分泌されるレプチンもこの軸を乱し、GnRH/LH分泌を抑制します。

結果として、「作れ」という信号が弱くなり、精巣からのテストステロン産生自体が落ちてしまいます。

③ SHBG低下と「正常値の罠」

肥満ではSHBG(性ホルモン結合グロブリン)が低下するため、血液検査で測定される総テストステロン値が実態よりも低く出やすくなります。軽度の肥満では遊離テストステロンが初期には保たれることもありますが、肥満が進行するにつれて遊離テストステロンも低下していきます。

つまり**「血液検査で正常」と言われた方でも、測定値の解釈に注意が必要な場合があります**。

悪循環の構造

この3つの経路が組み合わさると、こういう連鎖が生まれます。

内臓脂肪が増える → テストステロン低下 → 筋肉が減り脂肪が燃えにくくなる → さらに太る → さらにテストステロンが下がる

肥満の進行とともにアロマターゼ活性が高まり、テストステロンがエストラジオールに変換される量が増え続けます。エストロゲンの上昇は腹部脂肪の蓄積に関連し、その脂肪がさらにアロマターゼを増やすという進行性の悪循環(hypogonadal-obesity cycle)が形成されます。

自力では抜けにくい構造です。


EDとの接続──「勃たない」の背景にある話

テストステロン低下が続くと、性欲の低下だけでなく勃起障害(ED)にも直結します。

テストステロンは、性的な興味(性欲)だけでなく、勃起を起こしやすくし、その状態を維持するためにも重要なホルモンです。男性ホルモンが不足すると、陰茎への血流が悪くなり、勃起しにくくなることがあります。

低テストステロン状態ではPDE5阻害薬(いわゆるED薬)の効果が出にくくなることが知られています。

ED薬を使っても「効かない」と感じる方の一部は、テストステロン低下が根本原因になっている可能性があります。

EDは血管・神経・ホルモンの複合問題ですが、肥満はこの3つすべてを同時に悪化させます。「年齢のせい」「疲れのせい」と済ませる前に、ホルモンと体重の問題として捉え直すことが重要です。



出口戦略──減量でテストステロンは回復する

朗報があります。この流れは可逆的です。

前向きコホート研究では、肥満とメタボリックシンドロームはいずれも将来のテストステロン低下を予測する独立した危険因子であり、加齢に伴うテストステロン低下を増強することが示されています。

一方、肥満男性では、減量に伴ってテストステロン値が上昇することが、生活習慣介入、薬物療法、さらには減量手術のいずれにおいても繰り返し報告されています。


GLP-1薬のデータ(2025年・最新)

2025年7月、内分泌学会年次総会(ENDO 2025)で発表された研究では、肥満または2型糖尿病の男性110人がGLP-1薬を18ヶ月使用した結果、約10%の体重減少とともに、正常テストステロン値を示す割合が53%から77%へと大幅に改善しました。

これは外からテストステロンを補充したのではありません。脂肪を減らすことで、自分のホルモン産生が回復したということです。


当院でできること

やしのきクリニックでは以下に対応しています。

  • メディカルダイエットで体重を減らし、テストステロンを自然回復させるアプローチです

  • ED治療薬の処方(シルデナフィル・タダラフィルなど) ホルモン環境の改善と組み合わせることで、より確実な効果が期待できます

  • オンライン診療対応(沖縄県外の方もご相談いただけます)


「なんか覇気がない」「性欲が落ちた」「ED薬が効きにくい」──そう感じていらっしゃるなら、まず体重とホルモンの問題として考えてみてください。


数値の正常範囲より、「動き出せるかどうか」が大事です。


※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。受診をご希望の方はお問い合わせください。

 
 

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